ビジネス用語

ビジネス用語:コンセプト

昨日、小規模企業の経営者様から相談を受けたのが、「コンセプト」「コンセプトワーク」に関してでした。
本コラムでは、コンセプトについて具体的に記載します。

コンセプトワークは「何か新しいものをつくる」際に取り組むもので、コンセプトは「その新しい物」がイメージできる状態に整理されたものです。ビジョンやアイデアなどを実現するために欠かせないプロセスであり、情報の整理と方向性を確立する作業です。以下では、コンセプト及びコンセプトワークの定義・手順・重要なポイント・具体的な事例について説明します。

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コンセプトとは何か

コンセプトの定義

コンセプトの定義

コンセプトとは、概念や観念、構想や考えを指します。
具体的には、「新しい物」を創る・企画する際の、軸・方向性といった骨組みです。商品やサービスなど「新しい物」を企画する際に用いられます。

事例1:メモ専用端末 ポメラ

ポメラは、メモを取ることに特化した端末として生まれました。従来のスマートフォンやタブレットとは異なり、シンプルな操作性と長時間のバッテリー駆動を提供し、メモ作業に集中できる環境を提供しました。これは、情報整理とクリエイティブな活動に焦点を当てたユーザーにとって非常に有用なツールとなりました。

事例2:ポケットに1000曲 初代iPod

初代iPodは、ポケットサイズで1000曲以上の音楽を持ち運べる画期的なデジタル音楽プレーヤーとして市場に登場しました。音楽を携帯することの手軽さと、シンプルな操作性が特徴であり、音楽愛好家や移動中に音楽を楽しみたい人々にとって大きな魅力となりました。その結果、初代iPodはデジタル音楽プレーヤー市場を席巻し、アップルのブランド価値を高める一助となりました。

事例3:神からメッセージを受け取るカフェ 預言CAFE

預言CAFEは、珈琲専門店という既存の業態に新たなコンセプトを取り入れた事例です。店内に特別な雰囲気を醸し出し、お客さんが心を落ち着かせ、神からのメッセージを受け取れる空間を提供することで、スピリチュアルな探求や癒しを求める人々の需要に応えました。このような独自の体験やコンセプトは、顧客の心に響き、口コミや共感を生み出し、集客力を高めることに成功しました。

これらの事例から、コンセプトの重要性が明らかになります。どのような方向性で・何を軸とした商品サービスなのかを整理することにより、革新的なアイデアやビジネス戦略が生み出されます。商品サービスを実現するために、最低限必要な方向性・軸こそがコンセプトです。顧客のニーズや市場のトレンドを的確に把握し、それらを実現する独自のコンセプトを打ち出すことが、まさに成功のカギと言えます。

コンセプトワークとは何か

コンセプトワークの定義

コンセプトワークの定義

コンセプトワークとは、コンセプトを具体化するプロセスを指します。
革新的なアイデアやビジネス戦略を生み出し、実現するための道筋を示す重要なプロセスです。

コンセプトワークは、目標達成やアイデアを実現するために、ビジネス戦略の策定やプロジェクトの計画立案・新製品の開発など、様々な場面で活用されます。このプロセスでは、問題の定義や目標の設定・情報の収集と分析・アイデアの発想・優先順位付け・最終的な行動計画の策定など、情報の整理と方向性の確立を中心に取り組みます。

事例として挙げられたポメラや初代iPod、そして預言CAFEは、それぞれ異なるニーズや市場の要求に応えるために、独自のコンセプトを打ち出し成功を収めました。

コンセプトワークの手順(商品・サービスの開発)

1)リサーチ
コンセプトワークにおいて、リサーチは不可欠です。顧客や市場の声を聞くことで、ニーズやトレンドを把握し、成功するコンセプトを生み出す基盤を築きます。リサーチを通じて得られる洞察は、コンセプトの方向性を明確にし、競争力を高めるための重要な情報源となります。
自社の顧客・他社の顧客・自社商品サービスを購入しなかった顧客など、生の声は重要なものです。

2)3C分析
顧客(Customer)、競合(Competitor)、企業(Company)の3つの視点から情報を収集し、分析します。顧客のニーズや要求、競合他社の商品やサービス、自社の強みや特徴などを把握します。客観的に分析するために、社外メンバーやユーザーを交えて分析を進める場合があります。

3)商品・サービス・解決策の抽象化
次に、収集した情報を元に、提供する商品やサービス、または解決策を抽象化します。具体的な製品やサービスの特徴や付加価値、解決策の核心部分を抽出し、明確にします。

4)形容詞+名詞で言語化
抽象化された商品やサービス、解決策を表現するために、形容詞と名詞を組み合わせて言語化します。この言語化されたものを、キャッチコピー・キャッチフレーズと呼ぶ場合があります。コンセプトが上位概念であり、キャッチコピー・キャッチフレーズはコンセプトのごく一部です。製品やサービスの特徴や利点、解決策の効果や目的などが具体的にイメージできるように、言語化・表現されます。
このように、3C分析から商品・サービス・解決策の抽象化へと進み、最終的に形容詞と名詞を組み合わせて言語化することで、コンセプトを明確化していきます。

※市場や顧客の課題解決、社内の問題解決や業務改善においては、問題解決・課題解決の手順を行うことが一般的です。
※問題解決・課題解決において、問題の定義・取り組みのテーマなどを、コンセプト決め・コンセプトワークと呼ぶ場合があります。

成功しているコンセプトの共通要素

ヒット商品やバズコンテンツから学ぶと、成功するコンセプトにはいくつかの重要な条件があります。
具体的な共通要素をまとめます。

ニーズにマッチしている

成功するコンセプトは、顧客のニーズや要求を的確に把握し、それを満たすものであることが重要です。市場のトレンドや顧客の嗜好を的確に捉え、そのニーズに応える商品やサービスを提供することがポイントです。

ユニークさがあり差別化されている

成功するコンセプトは、他とは異なるユニークな要素や差別化ポイントを持っていることが重要です。顧客にとって新鮮で興味深い体験や価値を提供することで、競合他社との差別化を図ります。会えるアイドル、おにぎり形状のケーキ、真冬のトロッコ列車、寿司屋に見える高級デザート店、預言をもらえるカフェ…など、周りを見渡すだけでユニークかつ差別化されたコンセプトの法則が見えてくるのではないでしょうか。

シンプルであり親しみやすさがある

成功するコンセプトは、シンプルで親しみやすいものであることが求められます。複雑すぎるコンセプトや理解しにくい製品は、顧客に受け入れられにくい傾向があります。シンプルで明快なメッセージやデザインが、顧客の心を掴むのに役立ちます。iPhoneのデザインやパッケージ、湖池屋のフライドポテトの明快なキャッチフレーズなど、市場には参考になるものが溢れています。

共感と感情の喚起

成功するコンセプトは、顧客の共感を呼び起こすことにつながっています。顧客の感情に訴えるストーリー・メッセージ・キャッチフレーズを持つコンセプトは、強く印象が残り共感につながります。

シェアや口コミの促進

成功するコンセプトは、顧客が自然とシェアしたくなるような要素を含んでいることがあります。具体的には、感動や驚き、ユーモアなど、共感を呼び起こす要素が含まれています。これらの要素が、口コミやソーシャルメディアにつながり、バズ効果が生まれることがあります。

利便性と使いやすさ

成功するコンセプトは、顧客が利用する際の利便性や使いやすさを考慮して設計されていることが重要です。製品やサービスが使いやすく、顧客の生活や業務を効率的にサポートすることが期待されます。一方で、立地が悪い・予約できない・座席が少ないといった利便性が良くない店・商品・サービスであっても、人気があり長蛇の列が途切れないものがあることも事実です。行列や不便をコンセプトにする、行列を見て人気に火が付くといったパターンもあることは理解しておきましょう。

まとめ

以上のように、コンセプトとコンセプトワークは、ビジネスやプロジェクトにおいて方向性を明確化し、情報の整理と集約を行い、競争力を向上させ、計画の策定と実行を支援する重要な要素です。これらを適切に活用することで、より効果的な結果を生み出すことができます。

中小企業、個人事業主など、スモールビジネスこそ「コンセプト」が重要と言われています。自社の商品・サービスの見直しに再確認する機会を設けましょう。

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