ビジネス用語

ビジネス用語:価値・利点

業務に加え、セミナーや研修でよく見聞きする単語なものの、丁寧に説明してくれる方は少ない印象です。とはいえ、調べてみると納得感ある答えにたどり着きにくいものです。本日は、価値を定義します。

定義

価値の定義

価値の定義

ビジネスにおける価値とは、『相手にとって役に立つ度合い』を指します
手間と費用を惜しまずに手に入れたいという欲求があるような、求めるもの・期待するものです

価値とは、他のものよりも上位に位置づける性質・欲求を満たす性質を持つものを指すことが一般的ですが、ビジネスにおいてはより個別的でより深い物です。なぜならば、期待する価値は人それぞれ異なり 、相手の期待を超えることがなければ、価値(相手の満足・お役立ち)に至らることがありません。よって「相手、その人にとって、役に立つ度合い」と個別的なものと捉えられます。

また、入手困難な度合いを掛け合わせることで、価値が高まる場合があることがあることから『役に立つ度合いと、入手困難な度合いを掛け合わせたもの』と表現することができる。

利点の定義

利点の定義

役に立つ度合いの一部を指します。反面、価値にまで及ばないものです
2つ以上の何かを比較した際の、他より利益のある点・有利な点・得なところを指すことが一般的です

価値・利点と近しい言葉の定義

価値と近しい言葉の定義

メリット:役に立つ度合いの一部である、利点・得・利益といった一般論で捉えられる場合が多い

デメリット:役に立たない度合いである、欠点・損・不利益・リスクといった意味合いで扱われる

身近にある価値と利点

駅で配られるティッシュは、価値なのか?利点なのか?

利点(利益・得)はあるものの、価値(役に立つ度合い・他の物より上位に位置づける・欲求を満たす)とまでは言えないことが多いでしょう。しかしながら、買おうと思っていた、今まさに欲しかったという要素があると「まさに欲しかった!」「とても役に立った!」と、大きな価値を感じるものです。

価値と感じる場合、価値と感じない場合、まさに『その人にとって、役に立つ度合いが高いものか』『一般的なお得レベルなのか』ここに、大きな壁があるのです。

価値は変動する

価値において、注意すべき点があります。相手によって・時と場合によって、価値を感じる場合・感じない場合があること。また、価値は一定ではないということです。

子供にとって価値があるのに、大人にとって価値がない。あるいは、日本では価値があるのに、ハワイでは価値がない。誕生日前は価値があったのに、誕生日を過ぎると価値がない。このように、相手によって・時と場合によって、価値を感じる場合・感じない場合があるという点は、忘れてはならない点と言えます。

また、同じ商品であっても、高くてもお金を支払う場合と、そうでない場合がある。そう考えると、価値は一定ではないと言えるでしょう。お金を支払ってティッシュを買う一方で、駅前で配っているティッシュを避けることさえある。ここに、価値は一定ではないというヒントが隠れているのではないでしょうか。

目的・判断基準

カフェで、400円のコーヒーを飲む。そんな場面を想像してください。
あなたは、カフェでコーヒー代400円を支払った代わりに、どのような価値を受け取ったのでしょうか。

400円のコーヒーの価値(仮説)

  • 純粋に、美味しいコーヒーが飲みたかった
  • 友人と久々に会って、談笑したかった
  • 気温が高い中歩き疲れたので、涼しい場所でゆっくりしたかった
  • 静かな環境で、ゼミのレポートを仕上げたかった
  • スマホの電池が切れそうだったので、コンセントを利用したかった

カフェでコーヒーに400円支払う行為に対して、求めている価値が異なっているということです。
具体的には、カフェ・コーヒー・400円を選択した「目的・判断基準」が、人それぞれにあるということ。

スマホの電池が切れそうな人に、
「美味しいコーヒーいかがですか?」と声を掛けても、価値を感じない可能性が高い。
一方で、「コンセント・Wi-Fiが無料でご利用いただけますが、いかがですか?」と声を掛けると、価値を感じる可能性が高まります。

同じ商品・サービスだとしても、相手の目的・判断基準にあわせて、価値を伝えることができたなら、より多くの人に喜ばれる(収益が上がる)ということでしょう。成果を出しているビジネスパーソンが、徹底して拘っているポイントであるとも感じます。

時間・場所

昨日まで価値があったものが、今日は全く価値がない。そんな場合もあるでしょう。また、普段100円で購入している商品を、とある場所で500円で購入した。場合によっては、1,000円・2,000円を支払い、喜んで購入してしまった。そんなことも、あるのではないでしょうか。
誕生日ケーキは、当日のみ価値を感じるものですし、電池が切れていて、今まさに困っているからこそコンセントに価値を感じるものです。価値は、タイミングによって大きく変動します。

また、いつも安価で購入できる飲み物に、テーマパークでは比較的高い金額を支払うなど、場所が変わると価値が高まる場合があります。銀座のクラブでドリンクを飲む、砂漠がある地域で水を買うなど、これらも近しい要素でしょう。環境・場所などにより、価値が変動しているように見えます。
その本質に目を向けると、場所というより入手が容易か容易でないかという「入手困難度合い」の要素。このテーマパークだからこそ・このクラブだからこそという「独自性・オリジナリティ」という要素。このような見方もできるのではないでしょうか。

等価交換の罠

ビジネスの大原則に、等価交換という考え方があります。100円硬貨・100円の水を交換して取引する。
同じ価値を交換するというのが、ビジネスの大原則です。一方で、1,000円札と1,000円札を交換したとしても、双方に喜びは生まれず、交換取引に価値を感じることはありません。

これを、ビジネスに置き換えると、「相手の1,000円札と、自分の2,000円を交換する」ような、金額以上の「価値」を提供することがなければ、喜びがうまれない取引となってしまいます。世の中の名店や、レビュー評価が高いお店などは、「金額以上の価値」を提供できているとも言えます。
言い換えるならば、相手の期待を超えることがなければ、価値(相手の満足・お役立ち)に至らないということでしょう。あなたの商品・サービスは、相手の期待を超えるために、どのような取り組みをしているでしょうか。

企業においての取り組み

差別化の要素

ビジネスにおいては、入手困難度合い・希少性の要素として、差別化する要素が一般的に活用されています。一例をあげると、独自技術、成功事例・失敗事例・採用事例などの要素。また、個人においては、これまでの企業における経験、成功体験・失敗体験などが「他社・他人が持ち合わせていない価値」として扱われることがあります。

価値の言語化

また、先述のとおり、同じ商品・サービスだとしても、相手の目的・判断基準にあわせて、価値を伝えることを拘り続けている企業が多いことも欠かせません。これができたなら、より多くの人に喜ばれる(収益が上がる)ということが結果として得られることを知っているからこそ、拘っているわけです。

弊社の取り組み

弊社研修・プロジェクトにおいては、どのように価値を生み出していくかを基準に、価値を生み出すために「社員がアイディア・戦略を発想する」「社員が実現したいと想う」という点を大切にしています。まさに、世の中に必要とされる、商品・サービスを生み出していくポイントが、価値でありアイディアであると私は感じています。

課題解決研修のページで、現状、目的・理想像、問題、戦略といった、企業活動・事業活動の全体像をご紹介しています。必要があれば、ご参考いただけますと幸いです。

補足情報

まとめ

価値という、誰もが日常的に使う単語ですが、ビジネスにとって深い意味を持つものです。
相手に価値貢献できているのか、あるいは「駅で配られるティッシュ」のような価値提示になっていないかなど、相手に価値が届くような工夫に取り組んでいただけたら嬉しいです。

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